アイルランドが国民投票でリスボン条約を拒否

EU、アイルランドの新条約否決受け対応協議へ | Reuters

日本から見ると、ヨーロッパの国はダイナミックに国際化社会へ対応しているように見えるけど、実はそれほど簡単ではないというニュースです。
リスボン条約というのは、平たく言うとEUが共同で安全保障や外交上の問題に対処するための決まりで、欧州議会や外交の代表となるCFSP上級代表の権限が大幅に強化されます。今まで経済中心の統合を進めてきたEUが、外交的にもより団結するための条約と言えます。

アメリカが信用不安や外交政策の失敗で揺れている中、リスボン条約がうまく批准されれば、EUの存在感はますます大きくなる…はずだったのですが、アイルランドの国民投票による否決で事態は振り出しに戻ってしまいました。

実は、リスボン条約は2005年にもEU憲法という形で各国に批准が求められたのですが、フランスとオランダの国民投票による否決でご破算になってしまったという経緯があります。その後調整に調整が重ねられて、やっとできた条約ですから、関係者の落胆は大きいでしょう。コメントからは残念、というよりもう疲れた、という感じが伝わってきます。

アイルランドは、イギリスと各国の争いに巻き込まれないようにするため、常に中立を重んじてきたのだそうです。EUに組み込まれることによって、争いに巻き込まれてしまうことへの怖さがあったんでしょうね。

これ自体はうまく行きませんでした、というニュースなのですが、個人的には、こんな風にして国の立場を越えて協力し合うための取り組みを続けているEUの人たちはとても凄い、と思います。実際、言葉も歴史も違う国がまとまるという作業がそんなに簡単にいくはずはないのです。ここまでの過程でも、たくさんの人たちの途方もないエネルギーが必要だったのではないでしょうか。
意見をぶつけ合い、妥協点を探り続けなければ、こういうことは進展しないのでしょう。
統合が良いことかどうかはともかくとして、その理念とエネルギーは本当に凄いと思います。東アジアにも統合の話はあるのですが、EUに比べたらスタートラインにさえ立っていないですね。競技場へ行かずに家で寝てるといったところです。

こういった統合がなぜEUでは起こりえたのか?それは宗教なのか、民族性なのか。地政学的な条件なのか。とても興味深い問題です。後世の学者たちの格好の研究対象になるんだろうな。

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